ヴィーガンの話で涙するなんて思っていなかった話【前編】

#eftravelstory

こんにちは!オランダよりなつみです。

最近気温が上がってきて晴れの日も多く、自転車に乗るのが楽しくなっちゃうようなオランダです。

 


先日、グローニンゲンの学生団体が主催しているフェミニストミーティングに参加してきました。その日のテーマは「Feminism and Veganism」
そこで感じたこと・学んだことを紹介していきたいと思います。

今回は前編・後編の2本立てです!
前編ではミーティングの様子やそこで学んだことについて、後編では私がベジタリアン生活を始めてみた感想や自身の心境の変化について紹介していきます。

後編の記事はこちら↓

どんな団体が主催しているの?

このミーティングは Groningen Feminist Network (GFN) が毎週一回主催しているイベントで、過去にも「Gender and Body」「Feminism and Poetry」「Masculinity and Femininity」「Monogamy」などの週によって変わるテーマに沿ってプレゼンを聞いたり、小さなグループでディスカッションを行ったりして、みんなでトピックに関する知識や考察を深めます。

なんだかこうやって文字に起こすと、堅苦しく難しそうだなと思われる方もいるかもしれません。
私もこういったトピックに興味はすごくあるけれど、大した知識はないし、実際に行ってみるまで少し不安でした。

しかし、実際行ってみると、ちょっとしたお菓子や紅茶などが用意されていて、すごく居心地がいい雰囲気でした。

 

今回の集まりのテーマ「Feminism and Veganism」

もともとこの団体が主催するイベントにはちょくちょく行っていて、この週一のミーティングにもずっと行きたかったのですが、前のセメスターでは授業が開催時間に被ってしまっていてなかなかいくことができておらず、満を持しての初参戦。

今週のテーマは、「Feminism and Veganism」
私の興味のど真ん中を突かれた感じでした。

FeminismとVeganismは私がこの留学に来て自分の中でもやもやとずっと考え続けてきた問題。

日本にいた時からずっと気になっていたけど、忙しさを言い訳にしてずっと問題に向き合ってじっくりと考えることから逃げてきた気がしました。

 

それでもFeminismについては、性差別や「女性が活躍する社会」などの言葉が日本でも飛び交い、新聞などの記事を読んだりして考える機会が少なくありませんでした。

その一方、VegetarianやVeganについては、食べることについて興味がある性格からいろいろ気になっていたけれど、身近な人で実践している人を聞いたこともなかったし、肉も魚も含めて食べることが大好きな自分には無理だと決めつけていた程度でした。

 

しかし、オランダに住み始めて、気づくことがたくさんありました。

まずシンプルに、自分の身の周りでVegetarianまたはVeganの人が本当に多い。
(VegetarianとVeganの違いって?という人はこちら(日本ベジタリアン協会HP)へ!)

本当に肌感覚でしかないですが、ざっと言って私のここで出会った友達(オランダ人から留学生まで幅広く含む)の5人に1人くらいはVegetarianまたはVeganだと思います。

 

そして、外食するレストランでも、何かのイベント会場で出される食事でも、ほぼ絶対と言っていいほどVegetarianの選択肢が用意されています。
Veganの食事が選べることはVegetarianに比べると少ないけれど、それでも用意されていることも全然珍しくないです。

こんな環境で6か月過ごすうちに、実際にVegetarianの人やVeganの人がどうやって生活しているかを実際に自分の目で見て話を聞いて知ることができて、以前とは比べ物にならないくらい、自分も何かしなければならない、できるのではないかという気持ちになりました。

 

プレゼン

ここで、この日行われたプレゼンで学んだ内容をとても簡単にシェアしたいと思います。

今回、GFNがFeminismとVeganismを結び付けた理由は、この二つの問題には共通点があって、一緒に考えることによってどちらの問題に関しても解決に近づくヒントが得られると考えたから、でした。

その共通点というのは、女性・動物は個々が命あるかけがえのない存在であるのにもかかわらず、構造的に「モノ」として扱われているという現実です。
私がポイントであるなと思ったのは、「構造的に」というところでした。
つまり、社会が女性・動物たちを搾取できてしまうような仕組みになってしまっていて、それが固定化されてしまいなかなか崩せない。
その状況を打破することを目的とし、草の根から立ち向かっていこうというのが、FeminismやVeganismなのかもしれないと感じました。

 

ディスカッション

プレゼンの後は、ディスカッションタイム。
Vegitarianの友達と参加した私は、Veganである3人の女の子と話をすることに。

この写真にあるようにいくつかトピックが用意されていて、それをヒントに話し始めてみてもいいし、今回のテーマに関連することを自由に話してもいい、というゆるい雰囲気でした。

ミーティングの様子

私たちのグループは、「VegetarianやVeganになること」について広く話すことになりました。
私はなぜVeganになる選択をしたのかということをVeganの3人に質問しました。
3人が声を揃えて言っていたのは、肉・魚は菜食に比べて環境への負荷が大きすぎるということ、動物たちが搾取され虐待されている現状を肉や魚を食べることによって支持したくないからということでした。

環境への負荷?と疑問に思う方、これを見てください・・・↓
(これはほんの一例ですが、私にとってかなり衝撃的な事実でした)

私はVeganになるという選択をしたことで、今まで苦しかったことはないのかということも訊きました。
その時の返事の中で、かれこれVeganを5年ほど続けているといるという19歳の女の子が言ったことがすごく心に残っています。

「正直いちいち肉や魚が入っていないか確認するのは面倒だし、外食した時の選択肢が狭まるのも今の社会では仕方がない。でも、それよりも、何よりも、私は自分が正しいと信じること、自分の信念に沿って自分が生きられることが嬉しい、私にとって最高の喜び。
それに、自分が肉や魚を食べないことを選ばない苦しみは、動物たちが搾取や虐待に苦しんでいる苦しみに比べたらどうってことないと私は思う。」

彼女の力強い言葉、断固たる信念、凛とした眼差し、全てに心打たれました。
そして気づいたら少し涙がこぼれていました。
彼女は、「私がVeganになって、その理由を自分の周りの人に伝えると、私の友達が、”私も今日は牛乳の代わりに豆乳を買ってみたよ!”って報告してくれる。自分が人にいい影響を与えることができるって最高の気分!」とも言っていました。

そう語る彼女の笑顔はとても晴れやかで印象的でした。

 

この巨大化した、資本主義に基づく大量消費社会では、自分の行動が環境・社会にどう影響を及ぼしているかということが、とても見えにくいと思います。
ともすれば、自分は関係ないなどという思考に陥ってしまいがちです。

でもそこでどれだけ多くの人が当事者意識を持って地球規模の問題のことを考える時間を増やし、小さなことから取り組めるのかということが大切だと感じます。
私がこのミーティングに参加して心を揺さぶられた理由は、Veganismという特定のトピックに関する現実というよりも、ミーティングに参加している人たちの生き方に対する考え方、メンタリティなんだと思います。

自分の言動が良いようにも悪いようにも社会にインパクトをもたらす可能性があることを理解していて、その力を信じている。
そして社会は、各個人それぞれが望む生き方ができるように選択肢を可能な限り提供する。
VegetarianやVegan用の食事が選択できるというのはその一歩なのだと思います。

 

「ヴィーガンの話で涙するなんて思っていなかった話【後編】」に続く〜

 


最後まで読んでくださってありがとうございます。

後編では、実際にベジタリアン生活を始めてみた感想や、自身の心境の変化について紹介します。
そちらもぜひ読んでもらえたら嬉しいです(^^)

この記事を書いた人

なつみ

2016年法学部入学。オランダ・グローニンゲン大学にて1年の交換留学を経験。留学先では、主に国際関係学を中心に、マイノリティやジェンダー学についても学ぶ。刺激的で楽しさに満ちた交換留学を経て、海外院進学の思いが一段と強くなり、準備に励んでいる。オランダでベジタリアンになり、日本でもゆるく継続中。甘いものが大好き。

なつみの記事一覧ライター一覧

REAL-2018th

大阪大学で開催されているREALプログラムの2018年度受講生です!

コメントを残す