留学×コロナの話をしてみる

ご無沙汰しています、UCバークレーでの留学を終えた、たなおです。

「留学」という言葉を口にすることさえ憚られる日々の中で、このブログからも気持ちが遠のいていました。

家の中で過ごしていると時が止まっているようだけど、
気付けば私が渡米した日からもうすぐ1年。

そんな今、沈黙を破って、「私の留学とコロナ」をテーマに話をしてみようと思います。
コロナの影響を受けながらも最後まで突き進んだ中で感じたこと、しっかり書き留めておこうと思います。

これまで留学した人、また、これから留学する人たちとは違う、留学中にコロナを経験した私の話に、よかったらお付き合いください。

 

遡ること昨年末

 

2019年大晦日。
私は10人住みのシェアハウスで一人、映画ホーム・アローンのケビンくん状態でした。
というのも、主にヨーロッパ出身の住人たちが、母国に帰ってしまったから。

1年という限られた留学期間なのに、わざわざ帰国!?

空港での別れ際「辛くなったら帰っておいで」と母は言ってくれたけど、
私はよっぽどの事情(冠婚葬祭とか資金面とか)がない限り、帰らないと心に決めていました。
(一時帰国ってなんかカッコ悪いかも、とさえ思ってた..)

だから、期末試験が終わるなり、嬉しそうに荷造りをしている人たちの気持ちがよくわかりませんでした。

しかし、彼らにしてみたら逆。
なんで帰国しないの!?と言われました。

彼らにとって、クリスマスは家族と過ごすもの。それはたとえ自分が留学中でも変わらないのでした。

『留学=日本を離れること』
だった私の価値観がガラガラと崩れた瞬間でした。

 

激動の3月

 

友達とナパバレーに行って。バークレーで一人目の感染者が出て。ルームメイトとヨセミテ国立公園に行って。

ボストンに留学中の友達から寮が閉鎖されたという連絡が来て。

大学が3月末まで全授業をオンラインにすると発表して、その翌日からZoom授業が始まって。

唐突に「明々後日の飛行機で帰ることにした」とルームメイトに告げられて。

“明日の飛行機で帰る”住人が続出して。

残った住人たちと夜中にパラサイト鑑賞会をしていたら母から電話、
「アメリカからの入国が3日後から2週間待機になる」と告げられて即チケットを購入、
そのまま荷造り、そのままUberに乗り込んで空港へ。
直行便で日本へ。

全部全部、3月の、3週間ちょっとの間の出来事。

日々刻々と変わっていく事態に、心は追いつきませんでした。

 

「クリスマスに帰国していった人たちのおかげで、留学において外国に長期間滞在することに執着しなくなった。留学の本質はそこではないんだ、と。だから、日本にいながらバークレーの授業を受ける、これもまた貴重な機会だと わくわくしている。」

飛行機の中で書いた日記には、ポジティブな言葉を並べていました。

 

飛行機で食べたアイス、おいしかったな

 

カリフォルニア時間で生活する日本人

 

16時間の時差を超えたオンライン授業とは、深夜3時に授業があるということ。

私は無論、がんばるしかない、がんばるのが当然だ、と思っていました。

ところが、クラスメイトの反応は「どうして?」でした。

私に向けられたのは励ましでも称賛でもなく、
ただただ理解できない考えられないという疑問だけ。

スウェーデンに帰国したクラスメイトに至っては

「今受けているのはこの授業だけ、他の授業は深夜にあるから私は寝ていて受けられない」
と悪びれることなく言い放っていて(!)
またその発言が他のクラスメイトにも受け入れられていて(!)
とてもびっくりしました。

自分のライフスタイルをねじ曲げることに抵抗がないどころか疑問さえ抱かなかった日本人の私。

そして、自分のライフスタイルが侵されることに激しく抵抗する彼ら。

どちらが良い/悪いではなくて、ただ純粋に、
ああ、私たちってちがう!!!と感じたのでした。

 

教授の娘さんが描いた絵を見てみんなでほっこり、なおAM2:58

 

人事を尽くす努力と、置かれた場所で咲く努力

 

5月の真夜中、日本の自室から最後の期末試験をオンライン上で提出して、
私の留学は静かに終わりました。

出国時にはまるで予想していなかった展開。

正直、膨大な量のリーディングや、小テストの数々は、アメリカにいるから可能なのだと思っていました。
広くて天井が高い図書館があるから、背後で黙々と勉強するルームメイトの気配を感じられるから、可能なのだと。

でも実際はそうではなくて、どこにいても、どんなときでも、勉強する人は勉強するんだなぁ。

コロナや、緊急事態宣言や、ステイホームに振り回されている自分が恥ずかしくなりました。

 

その場その場で、自分にできる限りのことを精いっぱいやりきる。

そうしてもたらされた結果に、文句を言わない。

むしろ文句を言う暇なんてなくて、またそこから次を見据えて動く。

 

人事を尽くす努力と、置かれた場所で咲く努力。

 

私の友達は「努力」という言葉が嫌いと言ってたし、
こういう耳障りの良いことは、言うは易く行うは難し、だけど、

留学×コロナを通して、私はこの両方ができたんじゃないかな、と思っています。全単位回収できたし✌

私だけではなくて、○○×コロナを経験したすべての人もきっと。

 

--

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。

きっちり振り返った後は、また前向いて進んでいくのみですね。

みなさんの健康と安全をお祈りしています。

 

この記事を書いた人

たなお

法学部3年生。カリフォルニア大学バークレー校に交換留学中。留学先では"平和"や"紛争"について多方面から考えたい(ざっくり)。締切1分前に留学書類を提出するなど、ギリギリにギリギリを重ねて現在に至る。ちなみにジムには通わないタイプの人間です。

たなおの記事一覧ライター一覧

One thought on “留学×コロナの話をしてみる

  • 2020年8月6日 at 6:57 AM
    Permalink

    たなお留学お疲れ
    おれも深夜の授業ちゃんと受けてなかったわごめん

    Reply

コメントを残す